東京地方裁判所 平成9年(ワ)2551号 判決 1999年12月21日
原告
ネグロス電工株式会社
右代表者代表取締役
菅谷慶一
右訴訟代理人弁護士
松尾和子
同
中山慈夫
同
男澤才樹
被告
松下電工株式会社
右代表者代表取締役
今井清輔
右訴訟代理人弁護士
小野昌延
同
小松陽一郎
同
池下利男
右補佐人弁理士
川瀬幹夫
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 被告は、別紙被告製品目録一ないし二〇記載の電路支持材を製造し、譲渡し、引き渡し、譲渡又は引渡しのために展示し、輸出し、輸入してはならない。
二 被告は、原告に対し、金三億七二八一万五〇〇〇円及びこれに対する平成九年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
一 争いのない事実等
1(一) 原告は、電設資材器具の製造販売等を業とする株式会社である(弁論の全趣旨)。
(二) 被告は、各種機械器具、建築材料、電路支持材等の配管機材、情報機器の製造販売等を業とする株式会社である。
2 原告は、別紙原告製品目録一ないし二〇記載の電路支持材(以下、同目録一ないし七記載の製品を併せて「原告製品一」、同目録八記載の製品を「原告製品二」、同目録九記載の製品を「原告製品三」、同目録一〇ないし一五記載の製品を併せて「原告製品四」、同目録一六ないし一八記載の製品を併せて「原告製品五」、同目録一九及び二〇記載の製品を併せて「原告製品六」といい、これらを併せて「原告製品」という。)を、「パイラック」の商標を付して、製造販売している。
3 被告は、別紙被告製品目録一ないし二〇記載の電路支持材(以下、同目録一ないし七記載の製品を併せて「被告製品一」、同目録八記載の製品を「被告製品二」、同目録九記載の製品を「被告製品三」、同目録一〇ないし一五記載の製品を併せて「被告製品四」、同目録一六ないし一八記載の製品を併せて「被告製品五」、同目録一九及び二〇記載の製品を併せて「被告製品六」といい、これらを併せて「被告製品」という。)を製造、販売している。
二 本件は、原告が被告に対し、「被告が被告製品を製造、販売することは、不正競争防止法二条一項一号に該当する。また、右行為は不法行為に当たる。」と主張して、被告製品の製造等の差止めを求めるとともに、損害賠償を求める事案である。
第三 争点及びこれに関する当事者の主張
一 争点
1 原告製品の形態の周知性
2 原告製品と被告製品の形態の類似性
3 原告製品と被告製品の混同のおそれ
4 被告の行為が不法行為になるか否か
5 損害の発生及び額
二 争点に対する当事者の主張
1 争点1について
(原告の主張)
(一) 原告製品は、別紙原告製品目録のとおり、独自の形態を有するが、その形態は、以下の理由により、遅くとも昭和五八年には、原告の商品を示す表示として周知になった。
(1) 原告は、昭和三三年に「パイラック」の商標を付して日本で初めて電路支持材を製造販売し、そのシリーズである原告製品も、発売以来、原告の主力製品として、全国で広く販売、利用されてきた。
原告製品の販売先は、全国の電設資材業界の卸売業者約二五〇社であり、原告製品はこれらの卸売業者等を通じ全国のユーザーに販売されてきた。
パイラック製品の市場におけるシェアはほぼ九五パーセントであり、全日本電設資材卸業協同組合連合会の組合員である多数の主要な卸売業者が、原告製品を扱い、その周知性を認めている。
原告製品の平成四年から一〇年までの売上額及び販売数量は、別紙原告製品売上一覧表のとおりである。
(2) 原告は、昭和三八年以来、電路支持材の総合カタログを作成し、その冒頭には常にパイラック製品を載せていたが、右カタログは、電気設備業界・空調衛生業界の工事業者、電設資材の卸売業者、設計事務所、官公庁・総合建設業の電気設備担当者等に広く配布され、過去一〇年だけでも総数で一九四万七四〇〇部に達している。
また、原告は、パイラック製品の販売三〇周年には、記念キャンペーンを実施し、一〇万部のちらしを作成して全国の電気工事業者、電設資材の卸売業者に配布し、一万一六二九名から景品の応募があった。
(3) 原告製品一及び四は、特に早くから知られており、電気工事関係の雑誌にしばしば取り上げられ、第二種電気工事士試験などの試験の問題に使用されている。また、右原告製品は、電気工事に関する資材の解説、マニュアルのほか、教科書においても、早いものでは昭和三六年から、パイラックの商標と共に取り上げられている。
(4) 原告製品は、その形態、機能がすぐれているため、昭和四〇年に社団法人日本電設工業会の技術奨励賞、昭和四九年に渋沢賞を受賞し、また、昭和四〇年代には社団法人日本電設工業会の資材調査委員会の推奨資材、東京都建築局指定資材となっていた。
(5) 原告のパイラック製品が空前のヒット商品になったことや、それ故に模造品が製造販売され逮捕者が出たことが新聞で報道されたことがある。
(二) 電路支持材の外観の形態は、技術的制約を考慮しても、取引者・需用者の好みを考慮して選択できるのであり、電路支持材で、原告製品の模倣品として一時市場に出たもの以外は、原告製品と同一又は類似の形態的特徴を有するものではない。
(被告の主張)
(一) 商品形態が出所表示機能を取得するためには、その形態に、同じ存在目的を達成する同種の商品の有する形態とは異なるもの(相対的特異性)がなければならないが、古くから同業他社で原告製品と同種の形態のものが複数販売されているから、原告製品は相対的特異性を有していない。
また、仮に商品の販売当初、その形態に特異性があったとしても、その後、同一又は類似の形態が複数の業者により複数の同種商品に使用され、そのような状態が長期間経過した場合には、希釈化(ダイリューション)により当該商品の形態を特定の出所の表示として認識することができなくなり、周知商品表示といえなくなることがあるところ、原告製品については、すでに同一又は類似する形態が複数の業者によって同種製品について使用されているから、仮にその発売当初形態の特異性があったとしても、周知表示性はすでに失われている。
(二) 原告製品のうち、原告製品二、三、五及び六は、いずれも年間の売上額が少なく、販売額という面だけでも周知性を獲得しているとはいえない。
(三) 原告製品の形態は、以下のとおり、いずれも技術的機能に由来するものである。
(1) 原告製品一について
原告製品一は、鉄骨やアングル材等の構造物に電線管等を固定するための配管取付金具であって、上板、下板及び上板と下板の一端片に介在する側枝とからなり、側面略コ字形に形成されている。
この配管取付金具は、上板、下板、側板の両縁から内側に向けて金属板を屈曲して製造されるため、側板と上板、下板の境界部は丸みをもって構成されている。
上板、下板、側板の両縁に折曲片及びビードが設けられ、金具本体の強度を補っている。
電線管を挾持固定するためのクリップ金具が選択自在に取り付けられるように、下板、側板の両方に取付孔が穿設されている。
上板には、締付けネジが螺設され、下板には鋸歯状部が形成されており、上板と下板の間に鉄骨等の片を挟み、締付けネジを締め付けてネジ先端のくぼみ先と下板の鋸歯状部により鉄骨等の構造材の片を強固に挾持固定するようになっている。
このように、原告製品一の形態は、技術的機能に由来するものである。
(2) 原告製品二について
原告製品二は、リップみぞ形鋼の立ち上がった折曲片に引っかけて、うず形の係合溝の切り込みに沿って取り付けられるものであって、その形態は、技術的機能に由来するものである。
(3) 原告製品三について
原告製品三は、リップみぞ形鋼の対向する折曲片の間に脚片を挿入して係止するものであり、上面の孔はクリップの取付けやねじ止めに利用されるものであるから、その形態は、技術的機能に由来するものである。
(4) 原告製品四及び五について
原告製品四及び五は、鉄骨等の構造物に固定された取付金具に取り付けられ、電線管等を固定するための配管用クリップ金具である。
この配管用クリップ金具は、二つの金属主片からなる。金属主片は、電線管を挟むための湾曲部を持ち、その上端には、鉄骨等の構造物用の取付金具のクリップ取付孔に挿入係止するための外向きの屈曲部が形成され、下端には、他方の金属主片と係合するための締付けボルト挿着孔が穿設されている。
この配管用クリップ金具は、一対の金属主片の上端の外向き屈曲部を取付金具のクリップ取付孔に挿入係止し、相対向する湾曲部に電線管をゆるく挟んだ状態で、下端の締付けボルト装着孔にボルトを装着し、ナットを螺合して緊締することにより、取付金具に取り付け固定される。
この場合、締付ボルト挿通孔に挿着されたボルトをナットで締め付けていくに従い、湾曲部が電線管を強固に挾持し、かつ電線管の反発力により、挺子の原理で外向きの屈曲部が外方へ作用し、取付金具のクリップ取付孔への取付固着も強固に行われる。
このように、原告製品四、五の形態も技術的機能に由来するものである。
(5) 原告製品六について
原告製品六は、建築物の鋼管構造材等に電線管を固定するための電線管支持金具である。
この電線管支持金具は、鋼管構造材に適合するために一組の湾曲鈑が形成され、その上端は、各々側鈑を介して方形の保持鈑により一体に連結されており、核保持鈑にはクリップ金具用の取付孔が形成され、一方、湾曲部下端には鋼管構造材を締付固定するための螺着鈑が設けられ、螺着手段が形成されている。
このように、原告製品六の形態も技術的機能に由来するものである。
(四) 原告製品一に係る原告の登録意匠は、昭和五四年九月に無効となっているから、このような形態による周知性獲得の主張は信義則上許されない。
2 争点2について
(原告の主張)
被告製品の形態は、原告製品と実質的に同一である。
(被告の主張)
原告の右主張は争う。
3 争点3について
(原告の主張)
(一) 混同とは、二つの商品表示間に、経済的または組織的になんらかの関連があると誤認させることをも含むと広く解されているところ、被告製品は、周知な形態を有する原告製品と実質的に同一であるから、被告が被告製品を製造販売するならば、原告と被告との間に、被告が原告から正当なライセンスを受けているなど特別な法律関係があるかのように誤認され、出所について混同が生じることは必至である。
(二) 被告製品の一部は、原告商標のあるパイラックの標章を付されて、大手ホームセンターにおいて販売されている。このことは、一般需要者以上に知識を有するはずの販売店であっても原告製品と被告製品を誤認混同していることを示している。
その他、電設資材卸売業者、電気工事業者においても、原告製品と被告製品との誤認混同が現に生じている。
(三) なお、被告製品には「National」のプランド名が刻印されているが、電気工事関係者が本件製品を使用するに当たり、商品に表示された刻印を一つ一つ確認することは現実的にあり得ない。また、被告製品は、ホームセンターなど小売店を通じてユーザーにバラ売りされる場合があるが、この場合、商品が小さいため、品番や社名が、無雑作に貼付された価格ラベルに覆われて販売されており、その結果、原告製品と区別することが不可能になる。さらに、商品の購入が箱単位で行われ、その箱にメーカー名や品番名が明記されている場合もあるが、被告製品が梱包されるのは取引の最終段階であるから、その時点で右のような箱に梱包されても、出所の混同を防止できるものではない。
(被告の主張)
(一) 混同とは、両者間に親会社、子会社の関係や系列関係などの緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させる行為を包含すると解されるが、原告の主張のように単にライセンスを受けていると誤信される場合までは含まれない。
そして、本件では、原告と被告との営業規模の違いから、右のような混同が生じることはそもそもあり得ない。
(二) 被告製品は、全て被告代理店を通じて工事業者に販売されるが、代理店は、被告と直接取引をするし、被告製品を十分に認識しているので、代理店において、被告製品の形態によって出所の誤認混同を生じることはあり得ない。また、本件のような製品は、代理店の店頭に陳列して販売されるのではなく、工事業者からの品番や品名を特定した注文により、配送や店頭渡しで販売されるから、工事業者において、被告製品の形態によって出所の誤認混同を生じることはない。
なお、被告製品や原告製品は、有資格者でなければ使用しないものであり、一般消費者が購入することはない。
(三) 本件のような製品は、一般に箱単位で取引されるが、原告製品と被告製品は、梱包される段ボール箱や小箱の形状、模様、色彩が全く異なっている上、箱に会社名や品番が目立つ態様で表示されている。
また、原告製品には「NGRS」又は「NEGUROSU」と被告製品には「National」と、それぞれ商標が刻印されているところ、被告の商標は被告の著名なブランド名である。
このような自他商品の混同防止手段を付している場合には、出所混同を生じることはあり得ない。
(四) 被告製品がホームセンターで販売されていたことはあるが、極めてわずかな数量である上、被告が直接販売したものではなく、また、被告製品のみが陳列されていたのであって、原告製品と混然と並べられていたわけではない。
なお、右被告製品の中には、「パイラック止め金」との表示がされていたものもあるが、「パイラック」はすでに一般名称化しており、右表示も一般名称としての表示にすぎない。
4 争点4について
(原告の主張)
被告は、他の形状、寸法を採用して電路支持材を製造、販売することができたにもかかわらず、原告製品と形状、寸法、素材の色等の外観において実質的に同一というべき被告製品を製造し、原告製品との品番対比表を作成、配布し、かつ、値段を原告製品よりも大幅に下げるなどの不公正な方法で、被告製品を販売している。
これは、原告が、全技術と能力を傾注して作りあげた商品形態について、営業努力の結果蓄積した無形の財産を、故意に、取引における公正かつ自由な競争として許される限度を逸脱した不当な手段によって横取りしたものであって、不法行為を構成するというほかない。
(被告の主張)
被告の行為は、自由競争の範囲内であって、違法性を帯びるものではない。
5 争点5について
(原告の主張)
(一) 不正競争防止法に基づく請求
(1) 被告は、被告製品の製造、販売が、不正競争防止法二条一項一号に該当することを知りながら、右製造、販売行為を行った。
(2) 被告は、被告製品を原告製品よりも大幅に低い価格で販売しているため、原告は、原告製品を値引きして販売せざるを得なかったところ、平成六年九月から平成九年三月までの値引きによる原告の損害額は、三億六二八一万五〇〇〇円である。
(3) 原告は、被告の被告製品の販売行為により、顧客の減少に恐怖を感じ企業としての存立が脅かされたことによる精神的損害を被ったところ、右損害額は五〇〇万円を下らない。
(4) 原告は、本訴提起に当たり、訴訟代理人に対し、弁護士報酬として五〇〇万円を支払う旨約したので、右同額の損害を被った。
(二) 不法行為に基づく請求
被告の不法行為は、日々継続的に行われていることから、右(一)と同額の損害が発生した。
(被告の主張)
損害の発生及び額については争う。
第四 争点に対する判断
一 争点1について
1 商品の形態は、本来商品の出所表示を目的とするものではないが、特定の商品形態が他の業者の同種商品と識別しうる特別顕著性を有し、かつ、右商品形態が、長期間継続的かつ独占的に使用され、又は短期間でも強力な宣伝が行われたような場合には、結果として、商品の形態が、商品の出所表示の機能を有するに至り、商品表示としての形態が周知性を獲得する場合があるというべきである。
2 そこで検討するに、以下の証拠によると、次の事実が認められる。
(一) 有限会社ネグロス協電社は、昭和三三年ころ、パイラックの名称で電路支持材の製造販売を開始した。同社を吸収合併したネグロス電気株式会社から電材部門が独立したネグロス電材工業株式会社は、昭和三八年ころから、原告製品を、パイラックシリーズとして製造販売するようになり、昭和四四年にネグロス電気株式会社とネグロス電材工業株式会社が合併して原告となった後は、原告が、原告製品をパイラックシリーズとして製造販売するようになった。原告製品の各製品ごとの販売開始時期は、別紙販売開始時期一覧表記載のとおりであり、原告製品の平成四年から平成一〇年までの間における売上額及び販売数量は、別紙原告製品売上一覧表記載のとおりである。(甲三七、四三、四四、弁論の全趣旨)
原告製品は、昭和五一年ころには、同種商品中で全国の九〇パーセント近いシェアを有し、模造品が出回るなどした、平成九年ころにおいても、全日本電設資材卸業協同組合連合会の組合員数一〇九〇社中卸売業者四二八社(その支店・営業所ごとに数えるなどすると一一八五)及び工事業者七七二が原告製品を購入していた。(甲九の一ないし三、甲一七、一八、甲一九の一ないし三、甲二〇の一ないし一九五七)
昭和四〇年には、原告製品が日本電設工業会技術奨励賞を受賞し、昭和四九年には、原告代表者が、パイラック製品等の考案により、電気保安に功績のあった者に贈られる渋沢賞を受賞した。(甲二一の一ないし三、甲三七)
(二) 原告は、昭和三八年以来、製品の総合カタログを作成し、その冒頭にはパイラック製品を載せていたが、右カタログは、電気設備業界・空調衛生業界の工事業者、電設資材の卸売業者、設計事務所、官公庁・総合建設業の電気設備担当者等に配布され、平成二年から平成九年の間に、右カタログは一年間に一五万部ないし二八万部印刷された。(甲二二ないし三三(いずれも枝番をすべて含む)、甲三六の一及び二)
また、原告は、パイラック製品の発売三〇周年に当たる昭和六三年から平成二年まで、記念キャンペーンを実施し、およそ一〇万部のちらしを作成して全国の電気工事業者、電設資材の卸売業者に配布し、一万一六二九名からの景品の応募を得た。(甲三四、三五、甲三六の一及び三)
(三) 原告製品一及び四は、電気工事士の試験において、問題として取り上げられ、写真が掲載された。しかし、右各試験問題において、右写真の製品が原告の製品であることは記載されておらず、右試験問題の中には、パイラックという語句を一般名詞のように用いているものがある。(甲四の一ないし四、甲七の一ないし三、甲八の一ないし四、乙三六の一及び二)また、原告製品一及び四の写真は、右試験の模擬試験にも用いられているが、これらの模擬試験においても、原告の製品であることの記載はない。右模擬試験において、原告製品と基本的形態を同じくする他社の製品の写真を載せているものがあり、その中には、写真の製品について「商品名ではパイラックとの名がある。」と記載しているものや写真の製品についてパイラックという語句を一般名詞のように用いられているものがある。(甲五の一ないし三、甲六の一ないし三、乙三五の一ないし三)
さらに、原告製品一及び四は、第二種電気工事士資格取得のための通信教育の教科書や電気工事関係の書籍でも取り上げられているが、これらの教科書や書籍の中には、右原告製品と基本的な形状を同一にする電路支持材の図を掲載しつつも、それが原告の製品であることを明らかにしないものや、パイラックという語句を一般名詞のように用いているもの、パイラックという呼称を用いず、単に「軽量形鋼用支持金具」とか、「パイプ取付金具」などと記載しているものがある。「パイラックは商品名ではあるが一般化している。」と記載しているものもある。(甲三の一ないし三、甲九ないし一六(いずれも枝番をすべて含む)、乙三六の一、二、乙三七)。
3 原告製品一について
(一) 原告製品一は、鉄骨やアングル材等の構造物に電線管等を位置自在に固定するための配管取付金具である(甲二二ないし三三(いずれも枝番をすべて含む)、乙三九の一)が、その形態的特徴は、次のとおりである(争いのない事実)
(1) 一枚の鋼板で構成されている。
(2) 左側面からみて、中央部が大きい曲率半径をもつ湾曲を有し、両縁部がより小さい曲率半径をもつ湾曲を有する形状(以下「C字形」という。)をなしている。
(3) C字形の文字幅は、製品の大きさにより異なり、約一〇ないし一四ミリメートル程度である。
(4) C字形の上辺が下辺よりやや短い(4.5ないし10ミリメートル程度)。
(5) C字形の下辺の前部から縁部にかけ歯状の小切込みが複数個ある。
(6) 正面からみて締付けねじを除外した基本形状は、左右及び上下が対称であり、上面、背面及び底面の両側に連続する顕著なビード(七ないし一二ミリメートル程度)がある。
(7) C字形の上部に締付けねじがあり、背面及び底面部の左右ビードを除いた幅一杯に大きく丸い取付け孔が存在する。
(二) 証拠(乙三九の一)及び弁論の全趣旨によると、原告製品一の以下の形態的特徴は、次のとおり技術的機能に由来するものと認められるから、原告製品一の形態的特徴の主な部分は、技術的機能に由来するものということができる。
(1) 原告製品一のC字形の形状は、上面と底面との間に構造材を挟み込むための形態であり、また、C字型の丸みは、一枚の金属板を屈曲して右形状を形成することから必然的に生じるものである。
(2) 原告製品一の下辺の前部から縁部に、歯状の小切込みが複数個あるのは、締付ねじの圧接とともに、強く構造材等を挾持固定するためである。
(3) 原告製品一の上面、背面及び底面の両側にあるビードは、金具全体の強度を補強するためのものである。
(4) 原告製品一のC字形の上部に締付けねじがあるのは、上面と底面との間に挟んだ鉄骨等の構造物を挾持固定するためであり、また、右ねじの先端中心部は窪み、隆起縁が設せられているが、これは、締付け圧接部分のすべりを防止するためのものである。
(5) 原告製品一の背面及び底面部にある大きく丸い取付孔は、電線管を挾持固定するためのクリップ金具を方向自由に取り付けるためのものである。
(三) 以下の各証拠及び弁論の全趣旨によると、次の各事実が認められる。
(1) 昭和二六年に外国で発行され、昭和三一年に日本の国立国会図書館に受け入れられた雑誌には、次の各特徴を有する配管取付金具の広告が掲載されている。(乙七、三一)
ア C字形をなしている。
イ C字形の上辺が下辺より短い。
ウ 正面からみて締付けねじを除外した基本形状は、左右が対称であり、上下も対称である。
エ 上面、背面及び底面の両側に連続する顕著なビードがある。
オ C字形の上部に締付けねじがあり、底面部及び背面に丸い孔が存在する。
(2) 昭和三五年に外国で発行され、同年に日本の国立国会図書館に受け入れられた雑誌には、右(1)アないしオの各特徴を有する配管取付金具の広告が掲載されている。(乙九、一一、三〇)
(3) 昭和五八年に日本で発行された雑誌には、右(1)アないしウ、オ及びC字形の下辺の前部から縁部にかけて歯状の切込みあることの各特徴を有する配管取付金具の写真が掲載されている。(乙三五の一ないし三)
(4) 日本において、右(1)ア、ウ、エ及びC字形の上辺が下辺よりやや短い、C字形の下辺の前部から縁部にかけて歯状の小切込みが複数個ある、C字形の上部に締付けねじがあり、底面部及び背面に大きく丸い取付孔が存在するとの各特徴を有する配管取付金具が、複数の会社から販売されている。その中の一つは、遅くとも昭和六〇年ころには販売されており、他の一つは、遅くとも昭和六一年ころには販売されていた。(乙一二の二、乙一三、一四)
(5) 右(4)の配管取付金具を販売している会社のうちの一社である株式会社昭和コーポレーションは、平成五年九月一〇日、右(1)アないしエ及びC字形の下辺の前部から縁部にかけて歯状の小切込みが複数個ある、C字形の上部に締付けねじがあり、背面に大きな丸い孔が存在するとの各特徴を有する意匠につき、物品を「吊具」として、意匠権の登録を受け、この意匠は、意匠広報によって公開された。(乙一四、乙四三の一)
(四) 以上の事実によると、原告製品一は、その形態的特徴の主な部分が技術的機能に由来するものであり、基本的な形状を同じくする同種の製品が古くから存し、遅くとも昭和六一年ころには、日本において、原告製品一と形態が酷似した複数の製品が販売されており、基本的な形状を同じくする意匠に関する他の者の意匠権も登録、公開されているものと認められる。
確かに、右2認定のとおり、原告製品一は、昭和三八年から販売されているもので、その販売数量等も少なくない上、原告は、製品のカタログを配布するなどして、宣伝を行っており、また、原告製品一の写真は、試験問題等にも取り上げられたことが認められる。しかし、試験問題等においても、必ずしも原告の製品として取り上げられているわけではない。
以上述べたところを総合すると、右2認定の事実を考慮したとしても、原告製品一の形態が、同種製品と識別しうる特別顕著性を有するもので、商品表示として周知であるとまでは認められない。
4 原告製品二及び三について
(一) 証拠(甲二二ないし三三(いずれも枝番をすべて含む))と弁論の全趣旨によると、原告製品二及び三は、リップみぞ形鋼に電線管等を固定するための配管取付金具であって、係合溝、固定ねじ、取付孔等から構成されていること、係合溝は、それにリップみぞ形鋼の折曲片を挿入して係止するためのものであり、固定ねじは、リップみぞ形鋼の折曲片に固定するためのものであり、取付孔は、電線管を挾持固定するためのクリップ金具を取り付けるためのものであること、以上の事実が認められるから、その形態的特徴の主な部分は、技術的機能に由来するものであるということができる。
(二) 証拠(乙一三)によると、遅くとも昭和六一年ころには、日本の他の会社が、原告製品二及び三と基本的な形状を同じくする製品を販売していたことが認められる。
(三) 右2認定のとおり、原告製品二は昭和五二年に販売が開始されたものであるが、その年間の販売数量は数万個程度、売上額は一〇〇万円ないし二〇〇万円程度であり、原告製品三は昭和三八年に販売が開始されたものであるが、その年間の販売数量は一〇数万個程度、売上額は七五〇万円ないし一一〇〇万円程度である。
また、右2(三)のとおり、原告製品のうち試験問題となったり、書籍で取り上げられていたのは、原告製品一及び四であって、原告製品二及び三が書籍等で取り上げられたことを認めるに足りる証拠はない。
(四) 以上の事実によると、原告製品二及び三は、その形態的特徴の主な部分が技術的機能に由来するものであり、基本的な形状を同じくする同種の製品が遅くとも昭和六一年ころには日本において販売されていた上、その販売数量等も決して多くはなく、書籍等で取り上げられるなどしたことがあるとも認められないから、原告製品二及び三の形態が、同種製品と識別しうる特別顕著性を有するもので、商品表示として周知であるとは認められない。
5 原告製品四及び五について
(一) 原告製品四は、鉄骨等の構造物に固定された取付金具の取付孔に取り付けられ、電線管等を固定するための配管用クリップ金具である(甲二二ないし三三(いずれも枝番をすべて含む)、乙三九の二)が、その形態的特徴は、次のとおりである(争いのない事実)。
(1) 正面からみて左右同形の縦長の頭部と、楕円状にふくらみをもつ胴部があり、その下には、左右に張り出した二本の脚片(以下両者を併せて「脚部」という。)がある。頭部の丈は脚部の丈よりやや高い。
(2) 頭部にはねじとナットが取り付けられている。
(3) 外側面からみて、頭部と胴部の両縁には連続して二ないし三ミリメートル程度のリブがある。
(4) 外側面からみて、脚部は胴部より小さい曲率半径をもって湾曲を有し、脚片の幅は胴部より数ミリメートル程度狭いが、別紙原告製品目録一四の製品に限り、九ミリメートル程度狭い。脚片の先端部は半円形である。ただし右目録一四及び一五の製品は同半円形の先がさらに平らに切られている。
(二) 原告製品五は、鉄骨等の構造物に固定された取付金具の取付孔に取り付けられ、電線管等を固定するための配管用クリップ金具である(甲二二ないし三三(いずれも枝番をすべて含む)、乙三九の二)が、その形態的特徴は、次のとおりである(争いのない事実)。
(1) 正面からみて左右同形の半円形状を合わせた環状の胴部があり、その上部に小さい縦長の頭部がある。胴部の下に左右に張り出した小さい脚部がある。
(2) 頭部にはねじとナットが取り付けられている。
(3) 外側面からみて、頭部及び胴部の両縁にリブはない。
(4) 外側面からみて、脚部は胴部より小さい曲率半径をもった湾曲を有し、脚片の幅は胴部より八ミリメートル程度狭く、先端は半円形である。
(5) 胴部が大きくなるにしたがい、胴部の全体形状は真円に近づく。
(三) 証拠(乙三九の二)及び弁論の全趣旨によると、原告製品四及び五の以下の形態的特徴は、次のとおり技術的機能に由来するものと認められるから、形態的特徴の主な部分は、技術的機能に由来するものということができる。
(1) 原告製品四及び五のふくらみをもつ胴部は、一対の金属主片で電線管等を挟むためのものである。
(2) 原告製品四及び五の頭部に小孔が設けられ、ねじとナットが取り付けられているのは、一対の金属主片をねじとナットで緊定するためのものである。
(3) 原告製品四の頭部と胴部の両縁にあるリブは、強度を増し、変形を防止するためのものである。
(4) 原告製品四及び五の脚片は、胴部より小さい曲率半径をもって湾曲しているが、これは、クリップ金具を取付孔に挿入係止するためのものである。
(四) 証拠(乙一二の一、二、乙一三、二一、四〇)及び弁論の全趣旨によると、以下の特徴を有する、鉄骨等の構造物に固定された取付金具の取付孔に取り付けられ電線管等を固定するための配管用クリップ金具は、古くは昭和三年のドイツ特許広報に記載されているほか、遅くとも昭和四九年ころには、日本の他の会社が販売しており、昭和六一年ころには、日本において、複数の会社が販売していたものと認められる。
(1) 正面からみて左右同形に、小さい縦長の頭部と、環状にふくらみをもつ胴部があり、その下には、左右に張り出した二本の脚片がある。
(2) 頭部にはねじとナットが取り付けられている。
(3) 外側面からみて、脚部は胴部より小さい曲率半径をもった湾曲を有し、脚片の幅は胴部より狭い。
(五) 以上の事実によると、原告製品四及び五は、その形態的特徴の主な部分が技術的機能に由来するものであり、基本的な形状と同じくする同種の製品が古くから知られていて、遅くとも昭和四九年ころには日本において販売されていたものと認められる。
(六) 確かに、右2認定のとおり、原告製品四は、昭和三八年から販売されているもので、その販売数量等も少なくない上、原告は、製品のカタログを配布するなどして、宣伝を行ってきており、また、原告製品四の写真は、試験問題等にも取り上げられたことが認められる。しかし、試験問題等においても、必ずしも原告の製品として取り上げられているわけではない。
(七) 以上の(五)(六)因で述べたところを総合すると、右2認定の事実を考慮したとしても、原告製品四の形態が、同種製品と識別しうる特別顕著性を有するもので、商品表示として周知であるとまでは認められない。
(八) また、右2認定のとおり、原告製品五は、昭和三八年に販売が開始されたものであるが、その年間の販売数量は数万個程度、売上額は五〇〇万円未満である上、書籍等で取り上げられたことを認めるに足りる証拠もないから、これらに右(五)で述べたところを総合すると、原告製品五の形態が、同種製品と識別しうる特別顕著性を有するもので、商品表示として周知であるとは認められない。
6 原告製品六について
(一) 原告製品六は、建築物の鋼管構造材等に電線等を固定するための電線管支持金具である(甲二二ないし三三(いずれも枝番をすべて含む)、乙三九の三)が、その形態的特徴は、次のとおりである(争いのない事実)。
(1) 一枚の鋼板で構成され、正面からみると鞍形の上面が平らであり、その幅は二九ミリメートル程度である。
(2) 上部から一一ミリメートル程度下がったところからややふくらみを有する胴部があり、その長さは約二三ミリメートル又は三一ミリメートル程度である。その下に脚部があり、約一七ないし一八ミリメートル程度の長さを有し、その先端はやや外側に反っている。脚部の中央にねじとナットがあるが、これを除けば、全体として左右対称である。
(3) 胴部下方から脚部上方にかけて、左右に二本のビードがあり、その幅は四ミリメートル、長さは一一ミリメートル程度である。
(4) 上部中央に丸く大きな取付孔があり、縁取りされている。
(二) 証拠(乙三九の三)及び弁論の全趣旨によると、原告製品の以下の形態的特徴は、次のとおり技術的機能に由来するものと認められるから、形態的特徴の主な部分は、技術的機能に由来するものということができる。
(1) 原告製品六の胴部のふくらみは、電線管の外周面に適合するためのものである。
(2) 原告製品六の上部中央に丸く大きな取付け孔があり、上面と胴部との間にやや間隙があるのは、クリップやボルト等を挿通するためのものである。
(3) 原告製品六の脚部の形態及び脚部中央のねじは、螺着手段により電線管を固定するためのものである。
(4) 原告製品六の胴部下方から脚部上方にある左右二本のビードは、補強のためである。
(三) 以下の各証拠によると、以下の各事実が認められる。
(1) 以下の特徴を有する、建築物の鋼管構造材等に電線管を固定するための電線管支持金具が、昭和九年のアメリカ合衆国特許公報に記載されているほか、その後の時期において外国の雑誌やアメリカ合衆国特許公報に記載されている。(乙二、三、一一、二三、四〇)
ア 正面からみると鞍型の上面が平らである。
イ 上部からやや下がったところから、ややふくらみを有する胴部があり、その下に脚部がある。脚部の中央にねじとナットがあるが、これを除けば、全体として左右対称である。
ウ 上面の中央には、丸い取付孔がある。
(2) 遅くとも昭和六一年ころには、日本の他の会社が、右(1)ア、イ及び脚部の先端がやや外側に反っている、胴部下方から脚部上方にかけて左右に二本のビードがある、上部中央に丸く大きな取付け孔があり、縁取りされているとの各特徴を有する、建築物の鋼管構造材等に電線管を固定するための電線管支持金具を販売していた。(乙一三)
(四) 以上の事実によると、原告製品六は、その形態的特徴の主な部分が技術的機能に由来するものであり、基本的な形状を同じくする同種の製品が古くから知られていて、遅くとも昭和六一年ころには日本において原告製品六と形態が酷似した製品が販売されていたものと認められる。
また、右2認定のとおり、原告製品六は、昭和三八年から販売されているものであるが、その年間の販売数量は数万個程度、売上額にしても二五〇万円ないし三三〇万円程度である上、原告製品六が書籍等で取り上げられたことを認めるに足りる証拠もないから、原告製品六の形態が、同種製品と識別しうる特別顕著性を有するもので、商品表示として周知であるとは認められない。
7 以上によると、原告製品の各形態が原告の商品表示として周知であるとは認められない。
そうすると、その余の点を判断するまでもなく、被告による被告製品の製造販売は、不正競争行為に該当しない。したがって、原告の不正競争防止法に基づく請求はいずれも理由がない。
二 争点4について
1 原告は、被告が原告製品と外観において実質的に同一ともいうべき被告製品を製造し、原告製品との品番対比表を作成、配布し、かつ、原告製品よりも低い価格で販売したことを不法行為であると主張する。
しかしながら、前記一認定のとおり、原告製品の形態は、その主な部分が技術的機能に由来し、また、他社も原告製品に類似する形態を同種製品について使用しているのであって、その形態を原告のみが独占することができるというべき理由はない。
また、証拠(甲三八、三九、四六、乙四四)によると、被告が被告製品と原告製品との品番対比表を作成したこと、被告が電設資材卸売業者に、対応する原告製品の価格よりも値引きした金額を提示して被告製品の注文をとっていたこと、被告製品の注文書には、対応する原告製品の品番が記載されていたこと、以上の各事実が認められるが、被告が、右品番対比表を右業者等に配布していたことを認めるに足りる証拠はない。そして、このような品番対比表の作成、注文書の記載及び値引きした金額の提示自体が、自由競争の範囲を著しく逸脱した行為とはいえない。
以上を総合すると、被告製品が原告製品と似ているものであっても、被告による被告製品の販売が、取引界における公正かつ自由な競争として許されている範囲を著しく逸脱し、原告の法的保護に値する営業上の利益を侵害するものと認めることはできない。
2 そうすると、その余の点を判断するまでもなく、被告による被告製品の製造販売は、不法行為を構成しないから、原告の不法行為に基づく請求はいずれも理由がない。
三 以上の次第で、原告の本訴請求はいずれも理由がない。
(裁判長裁判官森義之 裁判官榎戸達也 裁判官岡口基一)
別紙被告製品目録二〜二〇<省略>
原告製品目録二〜二〇<省略>
原告製品売上一覧表<省略>
販売開始時期一覧表<省略>
被告製品目録一(図は前掲<編注>)
被告の電気亜鉛めっき処理の管支持金具(一般形鋼用 品番 DB11A)並びに溶融亜鉛めっき仕上げの管支持金具(一般形鋼用 品番 DBZ11A)であって、いずれも左側面からみて高さ(a)が約37ミリメートル、C字形を構成する文字幅(b)が約12ミリメートル、C字形をなす開口部(c)が約13.5ミリメートルからなり、C字形の下部右端部から鋸歯状の小切込部が3ケ設けられ、C字形の上部には締付けネジ(1)が取付けられている。C字形の上部は下部より約4ミリメートル短い。正面からみて形は左右対称であり両側に上部から下部に連続する約7ミリメートルの幅のビード(d)がある。
背面及び底面には同一の大きさの直径11ミリメートルの取付孔(e)が設けられている。
全体は一枚の鋼板で構成されている。
a……高さ b……文字幅
c……開口部 d……ビード
e……取付孔
1……締付けネジ
原告製品目録一(図は前掲<編注>)
原告の電気亜鉛めっき処理の管支持金具(一般形鋼用 品番 PHIS)並びに溶融亜鉛めっき仕上げの管支持金具(一般形鋼用 品番 Z―PH1S)であって、いずれも左側面からみて高さ(a)が約37ミリメートル、C字形を構成する文字幅(b)が約10ミリメートル、C字形をなす開口部(c)が約13.5ミリメートルからなり、C字形の下部右端部から鋸歯状の小切込部が3ケ設けられ、C字形の上部には締付けネジ(1)が取付けられている。C字形の上部は下部より約5ミリメートル短い。正面からみて形は左右対称であり両側に上部から下部に連続する約7ミリメートルの幅のビード(d)がある。
背面及び底面には同一の大きさの直径11ミリメートルの取付孔(e)が設けられている。
全体は一枚の鋼板で構成されている。
a……高さ b……文字幅
c……開口部 d……ビード
e……取付孔
1……締付けネジ